働きたくない村人のラノベ日記

ラノベの感想ブログ。開設2014年5月30日

やがてラブコメに至る暗殺者

やがてラブコメに至る暗殺者 (電撃文庫)

《あらすじ》
「私、シノが好き! これからは、恋人としてそばにいたい!」
 こうしてごく平凡な男子高校生である俺、久溜間道シノと、学校一の美少女と名高い鳳エマは恋人となった。……信じられるか? あの鳳エマだぞ? イギリスからやってきた、ユーモアと愛嬌に溢れる完璧な美少女。まさに高嶺の花だ。本当に俺がただ、平凡な人間だったなら――。
『シノなんて操り人形にして、ぜ~んぶ奪い取ってやるんだから!』
 俺には世界的大企業『光郷グループ』の莫大な遺産が相続される。
 彼女はその遺産目当てで俺に近づいたのだろう。
 グループに仇なす者は全て排除する。エマ、利用するのは俺のほうだ。
 君を操り人形にして、徹底的に利用してやろうか。クックック……。

世界的大企業の遺産を相続する平凡な男子高校生の久溜間道シノ。イギリスからやってきた転校生で学校一の美少女であり主人公の遺産を狙う鳳エマ。騙しあい、利用しあい、打算しかない恋人関係を続ける二人の日常。
どんな強硬手段を駆使してでも目的を成し遂げようとする二人の思惑が絡まりあってハイスケールなラブコメディへと昇華していて、お互いに『利用する』と思ってとった言動の仔細を二人の視点でそれぞれ描くことで、同じ展開だけれどその一部始終がわかればわかるほどより楽しめるラブコメディとなっていてすごくおもしろかったです。
『俺を好きなのはお前だけかよ』も以前に読んだことがありますけど、複数キャラの視点で描いた流れを収束するのが凄く上手くて、今回は『諜報員』という背景のある主人公が秘密裏に行っている盗聴器を介した情報をもとに同じ時間軸のなかで、久溜間道シノと鳳エマの掛け合いと盗聴器越しで会話を聞く第三者である久溜間道ファミリーのリアクションが並列して展開されているところが印象的でした。
一見すると多くのキャラクターが介する複雑な展開だけれどしっかりと笑えておもしろくて楽しめました。キャラクターがみんな活き活きとしていて、カオスな日常が繰り広げられるのが最高でした。
『やがてラブコメに至る暗殺者』。はじめは打算しかなかった久溜間道シノと鳳エマの関係が今後どのようなものになるのかが楽しみです。


やがてラブコメに至る暗殺者 - ライトノベル(ラノベ) 駱駝/塩かずのこ(電撃文庫):電子書籍試し読み無料 - BOOK☆WALKER -