《あらすじ》
僕、橋場恭也はしがないゲームディレクター。会社が倒産し、企画もとん挫して実家に帰ってきたが、目が覚めたらなぜか十年前に…戻ることもなく、偶然が重なり大手ゲーム会社、サクシードソフトに拾われることに。配属されたのは第13開発部。そこは開発とは名ばかりで実際は社内の雑用を担うサポートのような部署だった。クセの強い同僚だらけのそこで僕はとある没企画書を見つける。それは実現が難しいとして没にされたものだったが可能性に満ちていて―。「好き、だったんですけどね…。ゲーム、作りたかったな」「なんとかしよう、なんとかするんだ…っ」いま、ここからもう一度始める青春やり直しストーリー!
橋場恭也がシェアハウスで共同生活を送り、未来の超有名クリエイターたちと切磋琢磨していたであろう10年前の世界に戻ることなく、会社が倒産して無職になり転職活動をしている世界線の物語。端的に言えば、本来の橋場恭也が辿るはずだった未来の物語でした。
どこにでもいる1人の社会人でもあり、業界で輝かしい活躍を魅せるクリエイターたちをどこか遠い存在に感じていた頃でもありました。
しかし、不思議な因果もあり就職活動中の橋場恭也が大手ゲーム会社に勤めている河瀬川英子と出会い、口利きで就職先を斡旋してもらうことに。出会ったきっかけもあって意気投合し、あっという間に飲み仲間になってしまうあたり、本編の頃の雰囲気もあってなじみ深いものがありました。プライベートでも橋場が河瀬川の私服をチョイスする任を与えられるくらいの距離感が築き上げられていて、本編がシノアキ、ナナコの分岐ルートにも見えるところに正史は河瀬川ルートだという驚愕の事実。
何かこう、『河瀬川の尻にしかれる橋場』の絵面が容易に想像がつくんですよね。是非とも『ぼくたちのリメイク』のスピンオフ企画でも恋愛模様を描いて公私共に支え合えるような関係になってほしいです(願望)
あっ、橋場くんは大手ゲーム会社で開発を全くしていない名ばかりの開発部に配属させられていますが、本編で披露した制作としての潜在能力を見せつけてくれる目覚ましい活躍ぶりが描かれていてとても面白かったです。大学時代の環境下では決して遭遇することのない社会人ならではの悩みに直面する展開が描かれていて、社会の縮図を見せつけられているようで胃がキリキリしました。
是非とも本編、スピンオフ共に多くの読者の目に触れてほしい素晴らしい作品でした。
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