《あらすじ》
一人の男が交通事故で命を落とした。しかし彼は別の世界で再び生を受け、アスラという名前で転生を果たす。前世の記憶を持って…。転生先の世界は魔法が発達していた。人は生まれつき一つの属性魔法を授かっている。属性には火、水、風、土の四種類あり、その他に特定の種族のみ授かる神聖魔法と暗黒魔法、そして属性を持たない不遇な無属性魔法があった。アスラが授かったのは無属性魔法だったのだ。アスラは、前世で得た知識や経験をもとに様々な困難を乗り越えていく。仲間との出会い、異世界で生きる目的を見つけ、そして無属性魔法の本当の力を知るとき、物語は大きく動き出す―。
前世の記憶を持ったまま迎えた異世界での第二の人生は、魔法が存在するファンタジーの世界。幼少の頃からすでに発達しきった精神を身に宿していることから、誰の手も患うことの無い子供時代を過ごす主人公のアスラ。テンプレートをなぞるような異世界転生物語であることを念頭に置いても、小説家になろうの人気作品だからこそできる、アスラの生い立ちから旅立ちまでの物語にこれほどのページ数をあてることができるのだと思いました。
そしていざアスラの旅立ちがスタートして、自らの身に宿った無属性魔法の真の強さを見つけ出すための研鑽の日々が始まる。属性魔法を授かった魔法使いは、自らの属性にあった魔法を行使できるほか、威力は劣るが別の属性魔法も使うことができるようだが、無属性魔法に関してはどの属性魔法を使うこともできないために不遇魔法としての未来しか残されていない。さらに言えば、属性魔法は多種多様な魔法が使える点が属性魔法に関してはオンリーワンな魔法であり、かなり活用の幅が狭いらしいです。
そんななかでも、前世で得た知識を活かして自らの身に宿った無属性魔法の研究に余念なく努力を積み重ねていき、真の力にたどり着くときのカタルシスはもう最高でした。異世界転生ものなんてこれまでも数多く読んできたけど、やっぱり人気作品という裏打ちがあるだけあって面白いんですよね。まだ無属性魔法の成長は始まったばかり。アスラの無属性魔法がどこまで異世界で強さを発揮することになるのか楽しみでしかたがない。
次回は3年に1度だけ開かれる魔法使いたちの戦いのお祭りがあり、アスラがそれに参加を表明するシーンで1巻の終了。2巻は開幕からアスラの最高の見せ場で始まるとあっては、新刊の発売が待ち遠しですね。とりあえず、ヒーロー文庫さん新刊なるべく早く出してくださいお願いします。