《あらすじ》
本が好きで、ライトノベルと出会って虜になって、自分もラノベ作家になりたいと思って―そうして僕は高校卒業後に専門学校の作家養成コースに入学した。けれど、講師として僕の前に現れた、現役女子高生ラノベ作家として名を馳せている雨音天祢は言い切る。「専門学校に来ている時点で、おまえらには作家になる才能がない」肩を落とす僕だが、天祢によれば、彼女についていけば作家になれる可能性は確実に上がるらしい。その言葉を信じて僕は授業に励むが、はたして僕は本当に作家になることができるのだろうか…?あざの耕平・白鳥士郎・三浦勇雄など人気ラノベ作家も特別出演!大丈夫か、このラノベ業界ラノベ!?
専門学校でライトノベルの講師もする現役作家による実際に行われている講義内容も数々登場。
「ラノベしか読んでないやつはラノベ作家になんてなれないぞ」「書く前にまずは本を読め」
ライトノベル原作によるアニメ化・コミカライズ化展開。夢のある世界に踏み込んできた若者を現実に突き落とす切れ味の鋭いワードが作中の現役女子高生ラノベ作家の口から飛び出すわけだけど、現役講師が生み出したキャラクターなだけに語る内容の肉付けがかなり骨太になっていて、ほぼほぼノンフィクションに近いと思えるラノベ業界ものでした。
業界ものとしての側面を持つ一方で、ラノベ作家を目指すうえでの方法論から女子高生ラノベ作家が講義をする模様も一部展開されていて、ハウツー本としての側面を持っているようにも感じられました。実際にラノベ作家を夢見て入校した主人公を通して、才能がものをいう世界に身を投じるなかでの苦労や苦悩もストレートに描かれていて、明確な答えのないクリエイティブな世界ならではの壁にぶち当たったときの辛さが痛いほどに伝わってくる。
夢に向かって突き進む主人公や同じ目標を掲げて努力するキャラクターを掘り下げる一方で、その他の中途半端に講義を受けていくだけの生徒も物語に絡ませることで、講師視点からの生徒の授業態度に対する人物評も展開されていて、それがこの作品のなかにあるリアリティーをよりいっそう引き上げているところが面白かったです。
講師が女子高生ラノベ作家という点を除けばノンフィクションでまとめられるくらいリアルに忠実なラノベ業界ものだと思うので、ライトノベル好きにとってはたまらない作品ですね。