《あらすじ》
『探偵はもう、死んでいる。』で大人気の夏凪渚の日常を描いたスピンオフ！――普通の女子高生になりたかった。
この『命』は、女子高生になることを願っていたから。
あたしは、渚。夏凪渚。
きっとまだ何者にもなれていない、ただの女子高生だ。
少しだけ人と違うのは、病弱で最近まで学校に通えてなかったことくらい。
でも奇跡的に適合するドナーが現れて手術に成功した。
変な時期の復学になったけれど二人の親友のおかげで、念願の普通の高校生活を手に入れたのだ。
そう、ただの女子高生。
でも、この心臓の持ち主のことが気になって……。
この町にいるという噂のどんな事件でも解決する少年を探すため、親友たちと学校で話題の変な事件を調べていると――。
夏凪渚が君塚君彦と出会う前、ドナー手術を受け、学校で起こる不思議な事件に興味を抱き『探偵』らしく二人の親友と謎に挑む姿が綴られた物語でした。
本編で登場するような主要キャラクターは、例えば『事件にいつも関わっている男子高校生』が話に上がったり、例えば『現役アイドルが作中作品のキャストとして登場』したり。
夏凪渚があくまでも主役の物語なので他の登場人物の存在感はほのめかす程度にとどめられていますけれど、「ここはあのキャラクターのことを言及しているな」と察する遊びがあって楽しめました。
そんな夏凪渚の日常で起こる不思議な事件の数々は学園ミステリーと呼べるほどではないですし、首を突っ込む親友二人はそれこそごく普通の女子高生なので基本的には荒事にもなりませんでしたけど、仲の良い学友との軽快な掛け合いがなんとも『The高校生』といった様相で読んでいて気持ちが良かったです。
そしてラスト展開にかけては本編に登場するような異端の存在の登場によって、これまで夏凪が過ごしてきた日常の世界から非日常の世界へと切り替わり、臨戦態勢に切り替わったような本編で描かれる空気感が感じ取れてよかったです。
夏凪渚はまだ、女子高生でいたい。1 探偵はもう、死んでいる。Ordinary Case (MF文庫J) - 書籍横断検索システム
