《あらすじ》
登山に青春をささげるあまり、恋愛を知らずにいる少女たち。そんな女の子に恋した少年は、高校入学を機に彼女に「好きだ!」と告白を。しかし悲しくも「登山が好きだ」と勘違いされ、未知の登山部へと強制入部することに!?そこで味わう、初めての知識や経験の数々。彼は少女と過ごせる一緒の時間が嬉しいだけでなく、いま、ここでしか味わえない、先輩や仲間との青春の良さも感じたりして―。山に恋するあまり恋愛感性ゼロの山ガールに、果たして少年の思いは届くのか!?青春の坂道を駆け上がれ!!登山部ラブコメ一合目!!
山に恋をする山ガールの登山にささげる熱意と入れ込み具合が部活内での活動を通してまざまざと伝わるたびに、そんな彼女に恋をしてなりゆきで入部をする主人公の恋が恋愛感性ゼロの想い人に届いて無事に実るのか、はてが見えない。
自らの想い人にまがりなりにも告白をした(本人にその意図は伝わらず勘違いされる)度胸と勢いはラブコメ主人公においてあまり前例を見ない。それだけに、『告白する現場を登山部の先輩に目撃されていた!?』『その先輩により主人公を(それをネタに面白おかしくいじりながら)陰からサポート』する流れにもっていったりといった、毛色の異なるラブコメ路線をたどっていてこれから先がどう転ぶかが予想がつかない。
この先輩の存在が第三者の立場から主人公の背中を押してくれる頼もしく感じるときがあるにはあるけれど、大半が親切心よりも悪意に満ちている行動にあふれているだけに質が悪い。
登山部ラブコメでありながら登山のいろはを楽しく学べるハウツー本としての側面もあり一石二鳥。登山をするうえでの注意点や必要になってくる各種装備まで、登山未経験者で素人の主人公を通して丁寧に語られるため、誰でもこの作品を十全に楽しめる構成になっていてとても読みやすかったです。
あとがきからも続巻の可能性がある作品であり、まだまだ少年の思いが届くには遠い道のりがあるラブコメなだけに、是非とも続巻の発売にまで至ってほしい作品であります。