《あらすじ》
私だけを見て――。こじれた恋は、もうほどけない。
三人の関係が再びうまい具合に収まればと、大人な私は二人のほつれをほどいてあげた。自分の本音に蓋をして――そのつもりだった。だけど、二人はそんな私の想いを汲んではくれなくて、胸のうちを曝け出してなるものかと思っていたけれど、無理だった。耐え切れなかった。
もう我慢なんてしない。私は私のやり方で純君の時間を拘束する。手始めに、部活を作る。うん、悪くない。だから、これからは今までみたいに優しくしてあげないからね、お姉ちゃん。
なんて考えていたら、琉実がバスケ部の男友達に告白されたとかなんとかで、また純君の気持ちをかき乱すような厄介事を持ち込んできて……だるっ。
私の邪魔したら、許さないからね。
恋は双子で割り切れない(作品特設サイト) | 電撃文庫・電撃の新文芸公式サイト
三人のこじれた恋愛関係は変わらずとも、時は刻一刻と過ぎていく。
琉実には琉実の、那織には那織の、そして純には純の青春があり、三人にそれぞれの交友関係がある。答えの見えない三人の恋愛関係に悩み続けていたなか、突如訪れた琉実がバスケ部の男友達に告白された事実。
琉実のなかに燻る純への恋心、琉実へ好意を抱く同級生の存在、そして未だ答えの出せず悩み続けている純を襲う焦燥感。
ーー誰かを選ぶということは、誰かを選ばないことである
ラブコメ作品において、決断を迫られる主人公は心に決めた一人を選ばなくてはいけないことは百も承知だけれど、『二人の大切な幼馴染み』という構図がどこまでも恋愛をこじらせて、もどかしさを感じさせます。
『幼馴染み』『三角関係』のラブコメ作品でここまで感情を揺さぶられて読ませられる作品はこれを置いて他にないと断言できます。
三人の関係がはたして、どのような顛末になるのか想像できませんけれど、願わくば三人が笑顔でいられる青春を過ごして欲しいです。