働きたくない村人のラノベ日記

ラノベの感想ブログ。開設2014年5月30日

僕の珈琲店には小さな魔法使いが居候している

僕の珈琲店には小さな魔法使いが居候している (ファミ通文庫)

《あらすじ》
浪人生になってしまった九条篤志。バイト先の珈琲店でおいしい珈琲を淹れることに腐心する日々の中、気がかりが一つあった。それは店の片隅で平日の昼間からランドセルを傍らに珈琲を飲む亜理寿のこと。そんなある日、魔法使いを自称するその少女から篤志はある悩みを打ち明けられ―「人を殺してほしいようなことを言われました。断ると今度はわたしが殺されてしまうそうで、少しだけ困っています」。これは小さな魔法使いと若い珈琲係が紡ぐ奇跡の物語。

小さな珈琲店の落ち着いた雰囲気と魔法使いを自称する少女のもとにやってくる不思議な依頼の数々。この世の理を外れた魔法がもたらす神秘と奇跡、そして依頼を解決に導いた先に待ち受ける結末の数々。
珈琲店でアルバイトをする九条篤志と魔法使いの少女が出会うことで紡がれる物語は、遠い異国の地を連想させる不思議な雰囲気と調和して、ファミ通文庫らしさにあふれる傑作でした。

クライマックスに向けて主人公である九条篤志の身に起きた奇跡について触れると大きなネタバレにつながるから極力言及したくないのだけれど、端的に言えば『感動』という面で大きく刺激を受けて感情を揺さぶられる素晴らしい作品であったことだけは言えますね。
登場人物たちの抱える想いや苦悩、その全てを1冊のなかで綺麗に出し切り、ひとつの結末に収束されていてスッキリした読後感を味わえました。