働きたくない村人のラノベ日記

ラノベの感想ブログ。開設2014年5月30日

F級討伐屋の死にスキル 「死ね」と言ってはいけない理由は?

F級討伐屋の死にスキル 「死ね」と言ってはいけない理由は? (ファミ通文庫)

《あらすじ》
討伐屋になって二年。未だに最低のF級のジンは、ギルドで憐憫の目を向けられても、頑なに単独クエストを続けていたが、C級装備の美少女エインに「秘密をバラす」と脅され彼女とパーティーを組むことになってしまう。しかし、楽勝のクエストのはずが、D級の粘竜に繁殖対象として襲われ、エインはあっさり貞操の危機に! やむなくジンは“あの力”を発動させるのだが――。その"必殺"は無意味!? 最弱のスキルを持つ少年のアクションファンタジー!

ギルド受付嬢からクエストを受領してモンスターをハントするアクション作品かと思いきや、最低のFランク装備に身を包んだ最弱討伐屋の主人公と彼のもつ死にスキルをめぐった騒動を描いたファンタジー作品。このタイトルロゴと装備デザインと背景に加えてファミ通文庫からの刊行物になると、モン〇ターハンターを彷彿とさせるのだけど中身は全く別ジャンルでした。

第19回えんため大賞特別賞を受賞した作品。
討伐屋としてクエストを受けモンスターを討伐し、素材などの売却で生計を建てる同業者たちの日常をコミカルに描きつつ、モンスターと対峙して命の危機に瀕する局面であるにも関わらず、エインのポンコツぶりが見事に炸裂して一種のコメディに変貌を遂げていて面白かったです。主人公の“死にスキル”の能力もあって『身の丈にあわない強敵に遭遇しても切り抜けられる』安心感があり、あわやエインが異種姦+腹ぼて展開もありえたが……、彼のスキルにはとても救われました。

そんな主人公の死にスキルにまつわる凄惨な過去と、彼の一生を左右するターニングポイントを描いた回想シーン。幼少期に“死にスキル”の力を親の命令によりふるい虐殺と暗殺の限りを尽くし精神を摩耗した主人公の心情が繊細かつ丁寧に描かれていてシリアスな雰囲気がよく感じ取れた。『死にスキル』という能力の発動条件や特性を活かした構成で物語が練られているところが特に良い。
しかし、主人公以外のキャラクターに関してはキャラメイクがイマイチ弱かった感じが否めないが、それは誤差の範囲内とも思えるので問題ないです。

2巻が出るのであれば是非とも購入したい新人賞作品でした。

引きこもり勇者VS学級委員長まおう (ファミ通文庫)

引きこもり勇者VS学級委員長まおう (ファミ通文庫)