働きたくない村人のラノベ日記

ラノベの感想ブログ。開設2014年5月30日

特殊能力統轄学院2 欺瞞の優等生と大罪に堕ちた少女の共謀契約

特殊能力統轄学院2 欺瞞の優等生と大罪に堕ちた少女の共謀契約【電子特典付き】 (MF文庫J)

《あらすじ》
「やっと逢えたね。ずっと待ってたんだよ?」突如、紫門の前に現れた少女は、本当に生き別れの幼馴染なのか?拭いきれない違和感を胸に、彼女の正体を探っていると『仮採用監理官連続襲撃事件』との奇妙な繋がりが見えてくる。そんな中、学院の頂点、カテゴリ7に坐するルシファから事件調査の依頼が舞い込む。その裏では烽火・琉海をも巻き込もうと『悪魔』が暗躍を始める。そして最凶の魔の手はアスモデウスにもおよび―。「…ごめんなさい…あたし、もう役に立てない…」それでも君と契約する、たとえ世界のすべてを敵に回したとしても。

超常の現象を引き起こす『脅威』と呼ばれる力。現実にはありえない現象でも本人が思い込んでいれば『脅威』は起こる。自分の観測の破綻が『脅威』の弱体化にもつながる。
自分のなかの確固とした世界観が力に繋がる一方で、人間の内面に深く関わっている脅威の力が精神的に未成熟な女の子の不安定な部分に容赦なく牙を向く。
そんな、超常現象をもたらすのが年端もいかない女の子たちというアンバランスさとダークな世界観が魅力的な異能力学院もの作品です。

人間の思い込みによりもたらされる『脅威』の力のうえに、アスモデウスクラスの従属特待生たちが逸話に紐づけた力を持つ設定が異能力のバリエーションに無限大の広がりを見せてくれて最高でした。
観測者の思い込み次第では『脅威』の力は進化することもあれば、設定に関する余計な知識が破綻をまねき弱体化にもつながる。これだけでロマンがありまくりです。
そして、この作品の世界観を形作る描写が丁寧に描かれているため、年若い少女が悪魔を冠する独特の世界観を創り上げていて引き込まれる面白さがありました。
学院での日々は『脅威』に関連する出来事が多くまた世情とは隔離されているため重いシーンが多かったですけど、アスモデウスをはじめ烽火や琉海などの『脅威』を有する可愛いキャラクターが良い塩梅で作用して場を和ませてくれます。
自分のイチオシは烽火です。毎日起こしに来てくれるとか最高ですね。
興味のある人は是非読んでみてください。