《あらすじ》
善治郎と女王アウラは、ルクレツィアから双王国と『白の帝国』、そしてウトガルズの隠された歴史について知らされる。双王国は『白の帝国』の末裔であり、ウトガルズは古の巨人族の自治都市『ウートガルド』と密接な関係があると。看過できない情報に、女王アウラは一刻も早く、双王国のブルーノ先王との密議をこらす必要性を確信する。数日後、善治郎は双王国に『瞬間移動』する。表向きは鍛冶師ヴェルンドへの弟子入りを熱望するマルガリータ王女を迎えるためだが、本当の目的は、秘密裏にブルーノ先王をカープァ王宮に飛ばし、女王アウラとの極秘会談を成立させるためであった。一方、双王国滞在中の善治郎は、エレハリューコ、リーヤーフォンの両公爵から新型双燃紙の礼として走竜の贈与を伝えられる。それを受けてカープァの後宮に帰った善治郎は、女王アウラ、フレア姫と共に後宮の中庭で騎竜術の訓練を始める。
その後、双王国が白の帝国の末裔であるという情報を伝えるため、善治郎は単身『瞬間移動』でウップサーラ王国に飛ぶ。グスタフ王とユングヴィ王子と善治郎は秘密裏に会談して情報の共有を図り、『教会』勢力に対するカープァ王国、双王国、ウップサーラ王国の連携構築を図る。その話し合いの最中、緑色の石をくわえた灰色の猫が現れる。「灰色猫は『ウトガルズの使い』だ」。緑色の石はほどけて緑色のプレートに変じたが、そのプレートはウトガルズへの招待状だった。そこに書かれた名前は----。
善治郎が日本から持ち込んだビー玉のもたらす影響力は計り知れず、ビー玉を起点にした異世界における魔法のありかたに大きな変革をもたらすのではないか……
まだまだ大量生産をするにはほど遠いものではあるけれど、生産に成功した少量のビー玉も外交カードとして十二分に発揮できる力を秘めており、“時空魔法”により国交が生まれた国との取り引きにより着々と国力を増大させる礎を築き上げていく姿が明確に思い描けるくらい詳細に綴られていて、読みごたえがあるところが好きです。
「タイトルが理想のヒモ生活なのに全然ヒモになっていない!!」なんて思ってた時期もありますけど今さらですねw
むしろ、カープァ王国とウップサーラ王国間を時空魔法でつなぐために1日2回の使用制限のあるなか日々両国を行き来するはめになってドンドン大変になってきてました。各国の貴族や王族と会うときは自国の利益を鑑みて交渉をしたり、国の行く末を考えた選択を迫られたり、心労が絶えないポジションに立たされているのが物語を通じて痛いほど感じられます。ガイコーって大変ですねー。