働きたくない村人のラノベ日記

ブログ開設2014年5月30日

暴血覚醒《ブライト・ブラッド》

暴血覚醒《ブライト・ブラッド》 (GA文庫)

《あらすじ》
「血剣!」「血槍!」「そんな小学生の教科書に載ってる血魔法が通用すると思って?」池田弥彦は、血液を自由自在に操る力“血魔法”を学ぶエリート一貫校、赤百合学園の男子一期生。日本で初めて男にも門戸が開かれたこの女の園に、勇んで入る池田と男子生徒たちだったが、ここは―「男子の皆さん。これから三年間、女子の奴隷になって貰いますわ」「力こそが絶対」の魔窟だった!?学生主席で男子嫌いの藤堂率いる女子たちが仕掛ける幾多の横暴。池田は孤立していた少女・如月灯花と共に一大反抗戦を挑むのだが―!?熱き血潮が弾け飛ぶ、血まみれの青春学園異能バトル、開幕!
第8回GA大賞奨励賞受賞作

殺されても生き返ることが可能な空間で行われる殺し合い、“血闘値”が示す強さと“血魔法”を駆使した異能力バトルのシンプルさとバトルにおける多様性を生み出す“固有魔法”の存在がより異能力バトルの醍醐味を引き出していて面白かった。やはり、異能力バトルにおいて、シンプルな能力がゆえに戦局に応じて使い方を変えることで窮地を潜り抜ける。戦いのなかでのロジックを挟むことで、熱いバトル展開を楽しむことができる、そんな作品でした。

主人公の記憶から意図的に排除されている過去のエピソードをほのめかす幼なじみのヒロインの言動、クラスに突然やってくる訳あり転校生ヒロインとの日常と当て馬にされる幼なじみのポジション。突如関係が急接近する主人公と転校生ヒロインに敗北感を味わう幼なじみヒロイン。学園ものの王道をなぞりつつも、綺麗に異能力バトルに落とし込んでいて、なおかつバトルを盛り上げる展開にまで昇華させられていて、新人賞作品としては手堅い面白さがありました。

ゲーム・プレイング・ロールver.1 村娘。をヒロインにプロデュース

ゲーム・プレイング・ロールver.1 村娘。をヒロインにプロデュース (角川スニーカー文庫)

《あらすじ》
ここはゲームの中の世界。『イベントプランナー』のマナトは、セクハラ体質がたたって“村”を転々とする生活を送っていた。決意新たに辿り着いた「エンドール村」には、個性豊かな村人が―たったの3人。その場で村長に任命されてしまったマナトは、プレイヤーをもてなすため、ギャルゲーにRPGにとイベントを仕掛けるが…?村娘をヒロインへと導き、破綻寸前の村をバズらせろ!!

ゲームの中の世界を成り立たせているのはゲームの世界の住人である。ギャルゲーの世界はヒロインを演じるキャラクターが事前にオーディション形式で審査が行われ、メイン・サブヒロインの役職が与えられ主人公の行動に応じた演技をすることで、ギャルゲーの世界が成り立っている。
『ツボを割るとお金が出てくる』『人の家のタンスをあさってアイテムをゲット』そんなゲームの世界だからこそ成立する鉄板ネタも、実は裏でゲームの世界の住人が仕込んでいたから可能……、ゲームの世界をメタると何もかもがバカバカしく見えてきて酷く笑えてきてしょうがない。『作者である木村心一が書くライトノベルは笑える!』と言っても過言ではないくらい、キャラクターたちがイキイキしていて楽しい作品で、安心して作者買いができる。

キャラクター同士のやりとりが笑いを取りに行かせるために動かしているというよりも、ごく自然な流れで会話が進んでいるはずなのに、なぜかバカな方向に話が進んでいるから、自然と笑いがこみあげてくる感じです。

角川スニーカー文庫の作品のなかでも個人的にイチ押しなので、是非とも読んでもらいたい作品です。

エイルン・ラストコード ~架空世界より戦場へ~ 6

エイルン・ラストコード ~架空世界より戦場へ~ 6 (MF文庫J)

《あらすじ》
TVアニメの世界から現れたエイルン=バザットが『ドール・ワルツ・レクイエム』の主人公ジン・ナガトに殺害されて1年。雷鳥失脚で氷室義塾は実質的に解体、規格外十番は世界列強に売られ散り散り、目前の勝利は子どもたちの手から零れ落ちた。ジンはクイーン狩りを行い、次々と世界各国と同盟を結んでいく。「俺はエイルンみたいな悠長なことはしない…無駄はない方がいいのさ。物も時間も…人の命も」そのような中、真紅の戦騎装でヘキサの実験施設や非合法武装組織を潰して回る謎のテロリストが出現する。果たして彼の正体は!?爆発する爽快感!とにかく熱くて、火傷する、新世代ロボットライトノベル。シリーズ“最泣き”の最新刊で第二部開始!

このロボットアクション作品の戦いを繰り広げているときの大迫力と氷室義塾のメンバーの熱い駆け引きが映像化されたらと想像すると、いかに映像映えする作品であるかが伝わってくる。

機体のイラストとキャラクターのイラストでイラストレーターを分けることで専門性を発揮し、機体の外観の細部に至るまで丁寧に描かれていて、金属の質感と重厚な色合いがイラストへの個性とこだわりを表わしていて、カラーイラストにしたときの迫力が凄いです。

キャラクターごとのポジションと役職も概ね固まっていることから、かなりの大所帯の氷室義塾のメンバーが一斉に行動を起こしても状況把握がスムーズにいく。物語の山場に突入して全員の行動が実を結んでひとつの結果に収束する展開においても、メンバーの行動がつかめるのは大いに貢献していて読み手としても非常に助かる限り。

唯一残念なのは、大事なシーンをイラストにしたときのキャラクターの表情や外見の描き分けができていないと感じられるほど区別がつきにくいところ。キャラクターのイラストが出るたびに自分が誰を見ているのかが文脈からしかつかめないのがストレス。

キャラクターのイラストの点を除けば、MF文庫がほこる次代のアニメ化候補作品とも呼べるくらい軌道に乗ったシリーズなので、興味のある方は是非購入してみてください。

ユリア・カエサルの決断 1 ガリア戦記

ユリア・カエサルの決断 1 ガリア戦記 (オーバーラップ文庫)

《あらすじ》
ローマの英雄カエサルは巨乳で借金まみれの女好き!?
好きな時代は古代ローマ、尊敬する偉人はローマの英雄ユリウス・カエサル――
そんなローマ好きの高校生・糸原聖也(セイヤ)はある日、月の女神を名乗る美女に異世界へと転送される。そこは古代ローマそっくりの世界。
セイヤは憧れのカエサルに出会えたが……異世界のカエサルはユリアという名の金髪美少女だった!!
ユリアの家に住むことになったセイヤは、衰退するローマを変えるユリアの夢を知り、協力を誓う。ところがユリアは女好きで借金まみれの問題児!?
セイヤはユリアの計画する公共事業とイベント開催の資金を借りに行くことになり――!?
少女の夢が世界(ローマ)を変える異世界英雄ファンタジー、堂々開幕!

歴史上の偉人を土台にしているだけにキャラクターのディテールが丁寧に作られていて、古代ローマ生活様式や文化を織り交ぜることで独特の雰囲気と日常風景を醸し出すまでに昇華されており、新人賞作品としてはこの上なくグッドな異世界英雄ファンタジー作品でした。

もっとも、ユリア・カエサルに関しては門外漢であり、“カエサルが美少女ではない”ということ以外がどこまで史実をなぞっているのか把握できていないけれど、ローマ好きの高校生主人公が熱く丁寧に解説してくれるおかげで、自分の中で大まかにかみ砕いて解釈しながら読み進めることができてスッと内容も入ってきて読みやすかったです。

主人公がローマに召喚されることになったきっかけも作中で事前に説明があったように、“ユリア・カエサルを本来辿るべき未来へ導くため”となっており、過去の英雄に出会って歴史を改変する壮大なファンタジー作品としての演出を冒頭にやることで、読み手に対して期待感を煽り、その先の物語を読ませるつかみにもなっていて良かったです。

そして、【歴史の改編】を目論むだけに、いわゆる【歴史からそれたときの代償】がいかに危険か。それを象徴する概念の存在もシンプルかつインパクトのある演出で表現されていて、形のない存在に直面して窮地に立たされた時の絶望感がひしひしと伝わってきて手に汗握りました。

新人賞作品としても個人的には『続きが読みたい!!』と思える作品なので、可能であればオーバーラップ文庫には是非とも続巻を検討してもらいたいものです。

引きこもり英雄と神獣剣姫の隷属契約 ふたりぼっちの叛逆譚

引きこもり英雄と神獣剣姫の隷属契約 ふたりぼっちの叛逆譚 (MF文庫J)

《あらすじ》
山奥に引きこもっていた少年・白火の下を“神獣の末裔”たるソウガの姫・グウィンが訪れる。彼女は滅亡の危機に瀕した国を救うために、様々な褒美を提案して助力を請うが白火はことごとく拒絶してしまう。だが―「ソウガの一族に協力し、この地よりカースの魔の手を完全に退けることができたなら―妾を好きにしてよい。貴殿の奴隷にしようが、素材にしようが、煮ようが焼こうが構わぬ」彼女自身を対価に契約は成立。敵国の圧倒的兵力に対して白火は“変幻流転”―超常の力を持つ武具を創る力を用いて対抗し、たった一人で戦局を打開していくのだが―?必敗必死を逆転し、新たなる王道を斬り拓く大スケール無双戦記ファンタジー、ここに開幕!

超常の力を秘めた武具を創る力をもった少年と神獣の末裔と呼ばれる少女の出会いから始まる無双戦記ファンタジー。“武具を創る力”がもたらす恩恵と力を行使するのに要する代償。物語の世界を広げるにおいて軸になる白火のもつ能力の特異性、その力の根源が明らかになるにつれて徐々に深みに入っていく展開の連続に、MF文庫が推していく作品の魅力の一端を感じ取れる。
超常の力を持つ武具を創る代償がもたらす周囲の仲間たちへの影響の大きさと、グウィンとのひと悶着の末にたどり着いた結論。その演出も読んでいる人間の感情を揺さぶりにかける強烈なインパクトをぶつけてくるので、物語の世界に引き込まれていく面白さがあってよかった。

1巻の幕引きからの中・長期的な路線を見据えての風呂敷の広げ方も、編集部がプッシュしていく作品ならではの強気の構成だとは思うけれど、読者の目からみても長生きさせて楽しむに足る良作だと思いました。

最強聖騎士のチート無し現代生活 1 姫君はイタズラな副会長

最強聖騎士のチート無し現代生活 1 姫君はイタズラな副会長 (オーバーラップ文庫)

《あらすじ》
「俺の名は『ユウキ・グレン・オーガス』! ラバールの聖騎士である! 」
宿敵との決戦の果て、奈落へと堕ちた聖騎士ユウキ。彼が目覚めるとそこは見慣れぬ建物が並ぶ異形の街――現代日本だった!
警官に補導されたり妹に魔剣を折られたりしたユウキは、いろいろと勘違いしたまま高校に通うことに。鎧を着て通学したり異世界での旅の思い出を語ったりと、周囲から重度の中二病認定されながら学園生活を送るユウキ。しかしそんな彼のぶれない聖騎士っぷりが、悩みを抱える少女達の心を救っていき……!?
これは、異世界の聖騎士さんが囚われの姫の涙を止める物語……かな?

異世界の聖騎士が現代日本に転生して学園生活を送るだけなのに、自称“聖騎士”の主人公の異世界での体験談が全て“中二病(笑)”の扱い。主人公の発言が都合よく“アニメ”や“漫画”に影響された痛々しい“オタク”扱いされて、すれ違いコントにも近い掛け合いがハマって笑えてくる。

主人公が現代日本から異世界にやってくるケースは数多くあるけれど、逆のパターンはあまり例を見ないので、フレッシュな感覚でこの学園ものを味わうことができるところも良かった。
新人賞作品としても、好みのタイプの学園ものなので、これからも続いて行ってほしい作品です。

緋弾のアリアXXV 羅馬の軍神星

緋弾のアリアXXV 羅馬の軍神星 (MF文庫J)

《あらすじ》
東京武偵高校、そこは武力を行使する探偵―通称『武偵』を育成する特殊な学校。強襲科の超エリートでSランクの最強武偵・アリアのパートナーに選ばれてしまった(普段は)ただの一般人・遠山キンジ。“可能を不可能にする女”ネモ達『N』は、世界を分断と戦乱の暗黒時代に戻そうと企み、その魔手は既に人類を蝕みつつある。ネモとNのリーダー・モリアーティ教授の戦力によって、シャーロック、ベレッタは斃れた。新しく生まれ変わった拳銃に怒りの弾を込め、キンジは未来を取り戻すためアリアと永遠の都ローマに立つ!大スケールアクション&ラブコメディー第25弾!

世界各地を転々と渡り歩き死線を潜り抜けた後にはこぶいち神が描き残した現地妻の美少女が取り残される。“緋弾のアリア”の世界に存在する強者の層の底が深すぎて、歴史や空想の世界の人物たちが常に強敵として立ちはだかり、そのたびに超人的の絶技が披露される大スケールアクションを繰り広げている。
それに伴いキンジの若者の人間離れが急速に進んでいき、世界人外ランキングにも名を連ね、人間業を超越した人外技を次々に生み出していき、いつもファンを熱くさせてくれる。キンジの技のメカニズムにも0.1本ほどの筋の通った理屈が捏ねられていているだけに、どこか人間の限界を絞り出した人間業として納得させられそうになる。

シリーズもいよいよ佳境に入ってきて、世界中の強敵たちと激闘を繰り広げてきたキンジもとうとう日本に帰還。10代とは思えない波乱万丈の人生を歩んできたところに、かつての武偵校の学友やバスカービルのメンバーなどと再会して物語がどんな展開になるのか。新刊が楽しみです。