働きたくない村人のラノベ日記

ラノベの感想ブログ。開設2014年5月30日

理想のヒモ生活 15

理想のヒモ生活 15 (ヒーロー文庫)

《あらすじ》
アニメ化企画進行中! シリーズ累計470万部突破の大人気シリーズ。最新巻では女王と側室がバチバチ!? 「迎え撃とう!」

善治郎とユングヴィ王子は、神秘のヴェールに包まれた都市ウトガルズへと招かれた。氷原の中にある都市ウトガルズで二人を迎えたのは、ウトガルズの王とも言える代表のロック。ロック代表は善治郎に、一つの依頼をする。巨人族が住む異界『ウートガルザ』への移動手段を確保してほしい、と。交渉を重ねた末、善治郎は独断でその申し出を受け入れる。ウトガルズから帰国を果たしたユングヴィ王子は、父のグスタフ王に自分の第二夫人としてカープァ王国の女性を迎えるよう訴える。カープァ王国と善治郎の価値を認めたグスタフ王は、次期国王であるユングヴィ王子の側妃を南大陸のカープァ王国から迎えることを許可する。
一方、北大陸では、『教会』は再三の警告を無視し、自分たちへの非難と独自の「竜の教え」を説くことをやめないヤン司祭をついに拘束していた。
傭兵ヤンは救出のために動くが間に合わず、ヤン司祭は火刑に処された。そんなある日、復讐の念に燃える傭兵ヤンに届けられた一通の書状。その書状には「火刑に処された亡骸を、魔法で完全な形に修復し、清めることができる」と記されていた。竜信仰者にとって、火は竜罰の象徴。焼け焦げた亡骸を癒やすことは、信仰上大きな意味がある。書状を信じた傭兵ヤンが、指示に従い向かった先で待っていたのは女王アウラ。女王アウラは傭兵ヤンに告げる。「死体を私のところに持ってくれば、修復してやろう」女王アウラの言葉を信じ、ヤン司祭の亡骸を奪取してきた傭兵ヤン。約束通り、亡骸に『時間遡行』の魔法を施す女王アウラ。その結果は「ヤン司祭の死体の修復」ではなく、思いもよらないものだった。

シリーズ第15刊まで続いている作品ですけれど、内政・外交に日々邁進している善治郎たちの一挙手一投足の中にある何気ない言動の中から情報を引き出したり、“魔法”という力の価値を熟慮した政治的な駆け引きなど、登場人物たちが繰り広げる緻密なやりとりに込められた情報量が半端ではないのでいつも読み応えのある一冊でした。終わってみれば、物語全体を俯瞰したときの時間経過が薄く感じられますけど、それ以上に密度の濃い善治郎たちの日常が描かれているので不満は全くないです。
今回に関しては、『火刑に処されたヤン司祭の亡骸に、“時間遡行”の魔法を施す』が最大の山場でしたけれど、この作品の世界観のなかで魔法によって成し遂げた事実が今後の展開にどのように影響していくのかも含めて、とても楽しみです。

bookwalker.jp