働きたくない村人のラノベ日記

ブログ開設2014年5月30日

転生少女の履歴書 4

転生少女の履歴書 4 (ヒーロー文庫)

《あらすじ》
リョウが学園に入学して、早くも4年が過ぎた。友人も多くでき、商人としても成功しつつ、順風満帆な日々。ある日、大雨の影響で、魔物から国を守っていた結界が壊されてしまう。結界から出てきた魔物達が、リョウ達が過ごす学園を襲う。避難場所である講堂へ向かい、他の生徒や先生と合流すると、シャルロットがいないことに気づく。リョウ、アラン、リッツ、カテリーナ、サロメの5人は、シャルロットを救うために魔物がいる講堂の外へ出ることを決意するのだが―。

リョウが学園で成し遂げた功績と人脈の集大成が、学園に突如襲った魔物の襲撃への対処に赴く人員構成に多大な影響を及ぼし、魔法使いとそれ以外の人間の間に根付く固定概念を打ち破る。かねてから『約束された勝利のリョウ』の異名をもつ主人公なだけに、行動力と決断力が人目を惹く存在ではあったけれど、有事の際に率先して問題の解決に挑む姿とトラブルへの対処法を検討するときの視野の広さには恐れ入る。
魔物の襲撃に際しての打開方法もリョウをよく知る学友を盛大に巻き込ん大騒動になっていて面白かったです。
リョウがひそかに発見した魔法の存在が今後どんな活躍を見せてくれるのかも楽しみだし、何よりもリョウの秘密を唯一知ることになったアランとの関係がどう転んでいくのかも見どころ。新刊が楽しみです。

追伸 ソラゴトに微笑んだ君へ2

追伸 ソラゴトに微笑んだ君へ2 (ファンタジア文庫)

《あらすじ》
木々が紅く染まりゆく季節。俺、篠山マサキは風間ハルカと真の出会いを果たした。平穏な時間を取り戻したと思ったのも束の間で、ある日から俺の携帯に奇妙なメールが届き始める。「あの男、私にこんな恥ずかしい格好を…!」「マサキが風呂場のことを忘れますように」身に覚えのない文章が届いた後、確かに俺はハルカにエロい和服を着せて文化祭を盛り上げ、幼馴染みの入浴姿を目撃した。まるで、メールが未来を予知しているかのように…。ハガキの次はメールだってのか?更に、俺の昔の野球仲間で、今のハルカと同じ学校に通っているという少女が現れて―。キミとの時間を紡ぐ青春譚。

過去にハガキを送ることで未来が変わる不思議なポストにより真の出会いを果たした篠山マサキと風間ハルカ。そして今度は未来を予知するメールがもたらす騒動がきっかけで、二人の学校生活にも大きな影響を及ぼし、波乱の日々の幕開けに繋がる。
『ポスト』や『メール』が起こす過去と未来への微細な干渉と二人の周囲で生じるちょっとした変化。そして篠山マサキと風間ハルカの間に芽生えた淡い恋心。『過去と未来への干渉』『学校』『青春』これらの要素を調理してひとつの物語を作り上げたときの親和性の高さと、デビュー作から安定して読者の心を揺さぶる展開を生み出す技術、そしてわずか2巻にして巻をまたいで衝撃のクライマックスをもっていく編集部の英断。ファンタジア文庫の思い切りの良さがこの結末を生んだのだとしたら、もう言葉が出ないです。ここまで満足させられる青春物語を読ませられたら、どこまでも追いかけていきますよ。
篠山マサキと風間ハルカの関係が順調に進展していって、やがては恋人関係を築いてイチャつく姿を見てみたいと思う反面、前者を歩んで完結に向かうくらいなら紆余曲折を経て徐々に関係を深めていってもらいたいという二つの思いに挟まれて悶え苦しむのが面倒なところ。

『追伸ソラゴトに微笑んだ君へ』が今後どのような展開を辿っていくのかが気になるところではあるけれど、どんな形であれ新刊が出るのであれば後はもうどこまでも突っ走っていって行って、読者をとことん楽しませてくださいとしか言いようがないです。

妹さえいればいい。 7

妹さえいればいい。 7 (ガガガ文庫)

《あらすじ》
ついに付き合うことになった羽島伊月と可児那由多。恋も仕事も充実して、ますますリア充真っ盛りとなる2人。そんな2人の交際をきっかけに、羽島千尋、白川京、不破春斗、それから何故か大野アシュリーの心境にも変化が訪れるのだった。千尋の前には新たなライバルが出現し、春斗は彼を慕う新人作家(巨乳)・相生初に熱いアプローチを受ける。近づいてくるクリスマスの足音。変わりゆくもの、変わらないもの。大人気青春ラブコメ群像劇、待望の第7弾!作家や税理士や女子大生たちの、新たな物語が幕を開ける―。

出版業界の実態について幅広く触れるたびに自分の知らない世界を知ることができて好奇心が刺激され、アナログゲームをエンジョイしつつ伊月の周囲の恋愛事情を引っ掻き回してラブコメ感を出しつつ、ライトノベル業界の闇にバッサリ切りこんでシリアスな雰囲気に持っていく。
これらの要素が上手い具合に巡っていくことで常にフレッシュな感覚で楽しむことができ、かつ物語の時間経過を感じさせるエピソードが盛り込まれていて、キャラクターたちの成長と変化も感じられる。

ライトノベル業界の闇に果敢に攻めているところに関しては、ぶっちゃけ一人のライトノベル好きから言わしてもらうと「そんなところにまで踏み込んでいくのか!?」と思えるほどでした。たしかに、自分としても思うところがある内容なだけに、真剣に考える場面でもありましたが、作者の目線から作中のキャラクターを通して語られる内容には重みがあり、これまでの“妹さえいればいい”の中でも最高にヘビーで強烈に印象に残る内容でした。

ライトノベルに関して適当な自論を展開する連中に向けて、アニメを通して全国に向けて攻撃に出たら野次馬的発想で面白くなりそうだけど、精神衛生上はよろしくなさそう。

※妹を可愛がるのも大切なお仕事です。

※妹を可愛がるのも大切なお仕事です。 (MF文庫J)

《あらすじ》
巳月紘には、こいつのためなら死んでもいいと思える妹・唯々羽がいる。朝は二人でご飯を食べて仕事と学校に向かう。どんな残業地獄でも、笑顔の唯々羽の「おかえり」の一言に救われ、早く帰れた夜にはその髪を梳いたりもする。―だが、巳月兄妹には誰にも言えない秘密があった。実は唯々羽は(売れない)ラノベ作家で、紘はその担当編集なのだ!「このままだと、編集者さんが代わっちゃうかもしれないから。わたしはおにぃちゃんじゃなきゃ、やなの」妹を売れっ子作家にするために、紘は今日も唯々羽を膝に乗せて執筆を手伝う。時には頭を撫でて褒めてやり、一緒のお風呂で癒やし癒やされたり。でも、唯々羽が書くのは迷走したトンデモ小説ばかりで…!?

ライトノベル作家の妹と編集者の兄が新作にかける情熱、イラストレーターやデザイナーなどの多くの人の協力のもとで世に送り出した作品が作者の手を離れて流れに身を任せる心境。そんななかでの不安や緊張、そしてどれだけ満足のいく良い作品を書いても売り上げが振るわなかったときの残酷な未来が克明に描かれていて、読んでいてとにかく心に響く内容でした。

最近になって徐々に増えつつある『ライトノベル業界ものライトノベル』のなかでも、ライトノベル業界の生々しい現状を強調して読者の関心を引いて釘付けにするタイプや、さらに視野を広げてコミカライズやドラマCDやアニメ化などにまで触れるタイプなど様々なものがあります。そのなかでも、この作品は、まだ誰も開拓していないであろう(自分の知る限りでは)某ライトノベル人気投票雑誌を起点に物語を広げている部分が強烈に記憶に残っていて、ライトノベル業界ものの新たな可能性が見ることができて凄く新鮮な感覚で楽しめました。
そこに目を付け、さらに物語として昇華させる技術には恐れ入りました。感激しました。

二人が生み出した新作がたどった結末を目にしたときには、努力が報われたときの感動が押し寄せてきた。是非ともこの作品も同じように、世の多くの人の手にわたってほしいです。

世界最強の人見知りと魔物が消えそうな黄昏迷宮1. 冒険者世界も不景気です

世界最強の人見知りと魔物が消えそうな黄昏迷宮1. 冒険者世界も不景気です (MF文庫J)

《あらすじ》
迷宮の魔物を狩り、資源を得ることで発展した『冒険者の国』ローゼンガルド帝国。しかし、安価で手軽な蘇生魔法の開発、Lvに応じた適切な狩り場案内。効率的な迷宮攻略は冒険者を激増させ、魔物を激減させた。魔物が枯渇すれば経済的破綻は間違いない。この危機に1人の新米騎士と3人の人間的にはダメすぎる天才が集められた!「ほんっとうに、このPT、なんで、こんなひとばっかりなんですかあああああ!」新米騎士・ティルムは、冒険者ギルド、商人組合、神殿連盟を代表する一方で人としては問題しかない3人の天才達をまとめあげ『人工迷宮計画』を成功させることができるのか?これは世界の危機に立ち向かうPTの、ダンジョンと日常の物語である。

『世界の危機』をテーマに物語を広げていく著者の数々の作品のなかでも、キャラクターの引き立たせ方とコミカルなツッコミの応酬、そしてファンタジー作品の世界観にある共通概念に一捻りを加えた展開、どれもレベルが高くて素晴らしい作品でした。
作者買いするレベルで追い続けていることもあり、『おれと一乃のゲーム同好会活動日誌』や『バロックナイト』、比較的最近だと『前略、英雄候補は強くなるためにセンセイと××します』も読んでいたけれど、どれも総じてキャラクター同士の掛け合いが際立って面白い。
読了後しばらくの期間を隔てて「こんな作品だった」と印象付くようなものよりも、手堅くファンタジー路線を走りつつ安定した面白さのあるタイプの作品だと思います。

イラストレーターの描き上げた挿絵のクオリティも高くて、キャラクターの装備を身に包んだ姿がメインキャラ全員分丁寧に描かれていて、金属製装備のメタリックな感じや武器の装飾に至るまで細かく楽しませてもらいました。物語の流れをページを挟んで挿絵に起こして、コミカルな雰囲気を漂わせる細工やキャラクターの動きが数多くあり、とても楽しむことができました。

女神の勇者を倒すゲスな方法 2 「返事がない、ただの聖女のようだ」

女神の勇者を倒すゲスな方法 2 「返事がない、ただの聖女のようだ」 (ファミ通文庫)

《あらすじ》
勇者を撃退した平和な日々のなか、真一は魔族たちと畑作りを進めていた。その時―魔王を狙って放たれた最上級の光魔法『聖光奔流』。城ごと壊滅させる攻撃を放った相手は、新たな勇者“聖女”!さっそく攻略に乗り出すも、神官戦士に囲まれ真一の甘言にも耳を貸さない聖女はまさしく難攻不落。そこで真一は魔王の娘リノに協力を要請するのだが…。今度はゲスな手段でアイドルプロデュース!?大人気の異世界勇者攻略譚、第2弾!

主人公が敵対する聖女の勢力をそぎ落とすまでの手際の良さ。詐欺師顔負けの口の上手さで相手を徹底的に説き伏せるまでの流れも、容赦なく触れられたくないパーソナルな部分をピンポイントで刺激して感情を揺さぶるえげつなさ。
身近にいるアリアンやセレスとの何気ない雑談のなかでも主人公の性格が色濃く反映されていて、手の平でコロコロ転がされる女の子の姿が妙に愛らしくて可愛い。たまにセレスの反撃が飛び出してきてたじろいでしまう光景もあるけれど、結局は照れてることからくるリアクションで結局はセレスが可愛かったという結論にたどり着くからオールオッケー。

イラストの見栄え良さ、作品の内容も追い続けるだけの価値があると断言できるクオリティーで総合的に素晴らしいライトノベルだということは確実。
願わくば、この物語を今後も追い続けていきたいです。続巻、楽しみにしています。

始まりの魔法使い 1 名前の時代

始まりの魔法使い 1 名前の時代 (富士見ファンタジア文庫)

《あらすじ》
かつて神話の時代に、ひとりの魔術師がいました。彼は、“先生”と呼ばれ、言葉と文化を伝え、魔法を教えました。そんな彼を人々はこう呼びました。―始まりの魔法使い、と。そんな大層な存在ではないのだが―「だから火を吹かないで!」「ごめんごめん。私にとってはただの息だからさ」竜として転生した“私”は、エルフの少女・ニナとともに、この世界の魔法の理を解き明かすべく、魔法学校を建てることにした。そこで“私”は、初めての人間の生徒・アイと運命の出会いを果たした―。これは、永き時を生きる竜の魔法使いが、魔術や、国や、歴史を創りあげる、ファンタジークロニクル。

竜の魔法使いの視点から広がる国や歴史の変遷、人々の言葉や文化の発展。そして竜に転生した主人公が共に時間を過ごした人々との出会いと別れ。異世界転生ファンタジーとして一括りにするには、センチメンタルでドラマチックな展開が強く、竜と人間の間にある絶対的な種族の垣根と生命がもたらす神秘性が味わい深い内容でした。

ページ数が進んでいき章をまたぐごとに歴史が大きく変わり、作中のキャラクターの成長や容姿の変化さらには老いまで鮮明に描かれていて、種族による定命の残酷性が心にしみる。竜とエルフと人間を比較すれば、人間の生命が他に比べて明らかに早く散ることがわかってはいるけれど、それでも今一時を生きていく姿とその一生が綺麗に描かれていて素晴らしかった。
竜に転生したばかりでまだ自分の体に不慣れな時期に生じた珍騒動や、ちょっとした日常でのエピソードや和気あいあいとした光景もふんだんに盛り込まれていて、読み応えのある作品でした。

カクヨムWeb小説コンテスト特別賞を受賞しての書籍化作品で、まだまだ今後のさらなる物語の世界が広がるポテンシャルを持った作品でもあるので、今後はどんな物語に話が進行して読者を楽しませてくれるのかが非常に期待できる作品。
個人的にもオススメのライトノベルとなっているので、興味のある人は是非買ってみてください。