働きたくない村人のラノベ日記

ラノベの感想ブログ。開設2014年5月30日

ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン (7)

ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン (7) (電撃文庫)

《あらすじ》
軍事クーデターによって、カトヴァーナ帝国内はイグセム派、レミオン派、旭日連隊の三つの勢力に分裂する。旭日連隊のイクタは、行方不明だった帝国皇帝の身柄を確保することに、いち早く成功するが、佞臣トリスナイの巧みな謀略に踊らされてしまう…。イグゼム派の将校として捜索隊を率いていたヤトリと、戦場で対峙するという、まさかの事態を迎えるのだった―。非情な運命は、二人の未来をどう変えることになるのか?話題沸騰の本格ファンタジー戦記、ついに最大のヤマ場を迎える!!

幼少期を共に過ごしてきたイクタとイグゼム家の宿命から逃れることのできないヤトリ、二人の戦いの火蓋が切って落とされる。
本編と並行して、ヤトリが幼少期に名将バダ・サンクレイの軍事拠点に遊学として約3か月の間、イクタの家族と寝食を共にしてきた思い出を振り返る回想シーンが挟まれているとは……。ここに来て二人の築き上げてきた信頼関係の深さを見ることによって、これからの戦いがより切なく悲しく感じてしまう。

これまで数々の激戦を共に戦ってきた同士であり、幼少期の様々な思い出を共有してきた、それこそお互いに《自分の半身・片腕》と呼び合えるほどの深まっていく友情をまざまざと見せつけておきながら、楽しかった思い出が終わった途端にお互いが殺しあう運命に巻き込まれていく現実を突きつけられる。

イグゼム家に生まれたがために、人としての道を突き進まざるをえないヤトリが、大義の名のもとに下された命令に粛々と従わざるをえないなか、『イクタ・サンクレイの虐殺』を告げられるシーンは心の底から絶望するしかなかったです。

戦争における人の命の脆さや戦争に身を置く人間の宿命とも言える仲間の死、そんなものが惜しげもなく放り込まれているこのライトノベルに関しては主要なキャラクターが死ぬことも起こり得ることなので、果たしてイクタとヤトリの戦いがどんな結末を迎えるのか、最後の最後までこの戦争の結末に気が抜けない展開でした。