働きたくない村人のラノベ日記

ラノベの感想ブログ。開設2014年5月30日

りゅうおうのおしごと!

りゅうおうのおしごと! (GA文庫)

《あらすじ》
玄関を開けると、JSがいた――「やくそくどおり、弟子にしてもらいにきました! 」
16歳にして将棋界の最強タイトル保持者『竜王』となった九頭竜八一の自宅に押しかけてきたのは、小学三年生の雛鶴あい。きゅうさい。
「え? ……弟子? え?」「……おぼえてません?」
憶えてなかったが始まってしまったJSとの同居生活。ストレートなあいの情熱に、八一も失いかけていた熱いモノを取り戻していく――


弟子をとるのならこんなにも愛らしい小学生がいい! 高校生プロ棋士の九頭竜八一が小学三年生の弟子入り志望の女の子を自宅に連れ込んで、夜通し将棋の指導に熱をいれる……この師弟関係のもとで始まる同居生活には、抑えようのない犯罪の臭いが漂う!

9歳の小学生と16歳の高校生という年齢差もあって、それこそ手を出したら即お縄な状況であるのが最後の防衛ラインではあるものの、将棋の世界において幼少期から修行を共にしてきた姉弟子(空銀子)のポジションを脅かしている事実は避けようがない。小学生の弟子と高校生の姉弟子に挟まれた修羅場が軽快に進んでいき、家に突然押しかけてきた小学生と一夜を(主に将棋を指して)共にした翌朝に、姉弟子の自宅訪問という最大のピンチを迎えたときの加速度的に詰みに進んでいく展開が、別の意味でこれが将棋ラノベだと思った瞬間でもあるw

イラストを担当されたしらびさんの発想なのか定かではないですけど、才能と実力と潜在能力を秘めたキャラクターたちが本領を発揮したときに発する眼の輝きを入れる演出が最高でした!イラストをページをまたいで半分ずつにしたのもあれですけど、才能の片鱗をプロ棋士の八一を相手に覚醒させたときの表情の変化には鳥肌がたちました。

将棋の世界が抱える実情のどこまでがフィクションでありノンフィクションであるか、将棋のルール程度しか把握していないので定かではないですけど、プロ棋士の監修のもと執筆されただけあって、ところどころ真に迫る熱く言及する力の入ったシーンには魅入られました。
ほとんど将棋を知らない自分でも『これは面白い!』と感じれるだけ読みやすい内容でしたので、『将棋を題材にしたライトノベル』という点を懸念することなく手をつけられる作品でした。