《あらすじ》
ガジール辺境伯領から無事、王都に帰還を果たした善治郎を待っていたのは、妻アウラの『妊娠の可能性大』という吉報であった。妻アウラの第二子出産時に、治癒術士を連れてくるため、善治郎は今まで以上に『瞬間移動』の練習に励む。また、王都にやってきたガジール辺境伯とその娘ニルダは、改めて『名簿』にニルダの名前を登録し直す。その頃女王アウラの元には、後宮侍女の第二次募集用紙が到着。その中には、ニルダ・ガジールの名前もあった。ものづくりも順調に進み、ビー玉の製造計画もついにスタート。他にも方位磁針の開発、蒸留酒の量産も本格開始。そして、善治郎はついに『瞬間移動』の発動に成功するのだが―。
アウラの懐妊? 瞬間移動成功? ビー玉量産? 新たな側室候補登場? ……と、大人気シリーズ第8弾は見どころ満載! !
純粋な面白さでいえばヒーロー文庫のなかでもトップクラス!(個人の見解)
内政・外交で執り行われるあらゆる政務に連なって生じる可能性に対する肉付けの多さ。女王アウラの基盤をゆるがす危険な兆候を見通す思慮深さと、その兆候にたどり着くまでの道程かっこたり得るものにする考察のすべてが地の文で語られていて、理解すれば理解するほどうなずけてくるものになってくる。ストーリー全体の流れを俯瞰してみると善治郎とアウラの周囲にさほど大きな変化がないようにも見えるけれど、国の中枢を担う世界に身を置いているふたりの日々が多くの人間との駆け引きとそれに伴う綱渡りのもとに成り立つ緊迫感のある展開が多いので読みごたえは抜群。
{アウラが二人目の子供を身ごもる」「フレア姫が善治郎に本当の意味で好意を寄せることになったけど、その後どうなるの!?」「そもそも側室問題はどう落としどころをつけるの!?」
まだまだこれからの課題とこなすべき問題が山積みになっている状況だけれどいったいどうなることやら。次巻は善治郎が瞬間移動で訪れた国からのスタート。ビー玉つくりも着々と進行しているようで新刊が楽しみです。