《あらすじ》
中学二年生、夏休み。あの村で僕、荻原出海は仁科美音と出会った。望んでいたはずの静かな夏とは違う、騒がしくて賑やかな日々。入道雲、打ち上げ花火、夜空に輝く天の川。あの夏のぜんぶの景色に君がいた。あのときの僕は、この一瞬が永遠に続くと思っていた…けれども時間は未来への一方通行で、やり直しなんてありはしない。だからこそ、僕は未来へと走り続ける。どれだけの時間が過ぎていっても、どれだけの距離が離れても、もう一度君に会いたい夏があるから―。第10回小学館ライトノベル大賞・優秀賞受賞作品。
ガガガ文庫が輩出する新人賞受賞の青春作品の圧倒的なクオリティーの高さ! 田舎で夏休みを過ごしに来た“荻原出海”と同年代の女の子“仁科美音”の出会いとそれからの日々を、子どもらしく田舎の川や山に出かけて楽しそうにする光景と自然とお互いに意識しだして惹かれ合っていく姿に運命的なものを感じて、二人の青春模様に胸がときめいてきますね。
そんな“荻原出海”と“仁科美音”の運命的な出会いを果たして距離が縮まっていく一方で、二人が住む『玉川村』に伝わる風習がきっかけで二人の関係に暗雲が立ち込めてくる。
この『村に代々伝わる風習』が大きく動き出してきたあたりから、ストーリー全体にミステリアスな雰囲気を醸し出しはじめていき、最終的に村の風習が何を意味するものなのか、その全てがつながったとき、“荻原出海”と“仁科美音”のひと夏の青春の物語がえもいわれぬ感動を生み出していて凄く良かった。
やっぱり、ガガガ文庫の青春作品は最高ですね!