《あらすじ》
「夏休み、何かやりたいこととかある?」
大和と聖良が二人で過ごす、初めての夏休みが近づいていた。
事前に遠出する計画を立てたことで、すっかり浮かれる大和。
ところが、終業式の日に聖良の後輩を名乗る美少女・香坂椿が現れて、初日から予定は狂いっぱなし。
海やバイトに水族館デートなど、聖良と過ごす時間に、時折椿も加わってきて……。
過去の聖良をよく知り、同時に憧れているという椿の介入により、大和は改めて自分たちの関係について考えるようになる。
そして聖良もまた、思うところがあるようで……?
甘くて尊い、青春と恋の物語、波乱の第三弾。
終業式を終えれば訪れる夏休みに浮足立つ高校生たち。
大和と聖良が過ごす時間も自然と増えていき、日雇いのアルバイト、白瀬家のプライベートビーチ、水族館、花火、ラーメン屋……。高校生が手の届く範囲でちょっぴり大人で少し遠いところへのお出かけ(デート)をする二人の姿が描かれていました。学校という枠組みから外れて、彼氏・彼女のとしてではなく、仲の良い男女としての大和と聖良が作り出す独特の空気感。マイペースで自由奔放な聖良とそんな彼女にどこまでも付き合っている大和のニコイチともとれる関係性で繰り広げられる青春模様にとてもほっこりさせられる作品でした。
シリーズ1,2巻を通じて二人の独特の距離感は幾度となく描かれていましたけれど、夏休みにクラスメイトたちが集まる場面であらためて客観的な二人の関係を言語化したときの様子や、初登場となる聖良の旧友である椿からの評価も踏まえて、大和と聖良の関係性を再度認識させられる青春物語でした。
また、聖良が現在の高校生活を送るに至るバックボーンに関しても椿の登場によって新たに深掘りされていき、聖良という謎多きベールに包まれたキャラクターをより深く知ることのできる内容になっていてとても面白かったです。