働きたくない村人のラノベ日記

ラノベの感想ブログ。開設2014年5月30日

ミモザの告白3

《あらすじ》
闘争と激情。火花散る第三巻。
文化祭を終えてから咲馬たちは平穏な学校生活を送っていた。最初はクラスメイトに避けられがちだった汐も、今ではすっかり馴染んでいる。汐がクラスの人気者に返り咲く日も近い――そう思った矢先。咲馬たちの教室に、かつて汐が所属していた男子陸上部の能井風助が訪れる。
「勝負しろ。俺が勝ったら、男子陸上部に戻ってきてもらう」
長距離走者として汐のライバル的存在だった能井は、汐に勝負を挑む。ブランクのある汐には不利な条件。だが汐は、その勝負に乗ってしまう。
一方、クラスの問題児・西園アリサが、世良慈と衝突する。挑発を繰り返す世良に、怒りを募らせる西園。溜め込んだ鬱憤は理性を浸食し、やがて彼女は思いも寄らない凶行に走る。
「舐めんな、クズ野郎」
大切なものを守るために。あるいは何かを勝ち取るために。彼ら彼女らは、ぶつかり合う。
暴走する感情の行き着く先はーー。

女子生徒としての生き方を選んだ汐の姿は多くのクラスメイトからも徐々に受け入れられ平穏に思えていた学校生活も、未だ汐の決断を受け入れられない人たちの存在によって新たな衝突を巻き起こすことになりました。

これまで汐と共に切磋琢磨していた陸上部の男子生徒からは部活への復帰を迫られ、かつて汐に好意を抱いていた女子生徒からは怒りをぶつけられ……。
汐が自分を偽らず、ありのままの自分の姿で生きることが、これまで汐に対して抱いていた好感情を悪感情へと一転させて、人間関係に亀裂を生じさせる。
学校というコミュニティに所属する高校生男女の人間関係と胸中で抱いている複雑な感情を、汐を中心として彼女と関わりのある人間にスポットを当て、とてもリアリティのある言動と感情の応酬が行われていて、目が釘付けになる物語でした。
こういう、『現実にどこかで起きているかもしれない……』と感じさせる人間味のあるやり取りが繰り広げられていると、グッと作品の世界観に引き込まれるので凄く良いです。

主人公である紙木咲馬と幼馴染みの槻ノ木汐の関係もここにきて、お互いのなかに蓋をしていた感情を呼び起こすような二人の関係を新たなステージへとひっぱりあげていく様相を見せ、今後の展開が楽しみな作品です。

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