《あらすじ》
兄妹になってから初めての年越しで思い出を振り返りながら距離を縮めた悠太と沙季。
親戚付き合いを経て、誰からも歓迎される関係の難しさを実感しつつも沙季は悠太との触れ合いを求めるようになっていく。
バレンタイン、海外への修学旅行、旅先での新たな出会いと気づき。
特別なイベントにもかかわらず、家の外で過ごす時間は、二人にとっては逆に恋人らしい交流ができず、距離を感じるもどかしい時間でもあった。
そして『自分本位の幸福の追求』という価値観に触れたとき、自身の想いを抑圧しがちだった二人はある行動を起こす――。
“兄妹関係”から恋人への階段をのぼっていく、等身大の二人を描いた恋愛生活小説、第7弾。
お互いに恋愛感情を持つ義理の兄妹の距離感。
周囲には明かさず、人目を避けて距離を縮めるような触れ合い方をしている二人にとって、家族とのやり取り、アルバイト先、修学旅行先で出会った人とのやりとりのなかで様々な価値観や考え方に触れ、義理の兄妹から恋人同士へとなった現在の関係について熟慮を重ねる。
両親の再婚をきっかけに繋がりが生まれた悠太と沙季が二人ともお互いの両親の幸せを願いながらも、自然と惹かれあうように恋人関係へと至り、同じ家で生活をするなかでひそかに交流を続ける。やや背徳的でありながらも、義理の家族関係がもたらした恋愛観についてあらためて考えさせられる恋愛作品で、修学旅行先での出来事をきっかけにまた新たな気づきに触れた二人の恋愛模様がとても良い作品でした。