働きたくない村人のラノベ日記

ブログ開設2014年5月30日

いつか僕らが消えても、この物語が先輩の本棚にあったなら

いつか僕らが消えても、この物語が先輩の本棚にあったなら (MF文庫J)

《あらすじ》
柊海人の日常は全てが灰色だった。可愛い妹と何かと気に入らないことがあればすぐに激昂してしまう父。アンバランスな家庭を守るため、アルバイトに明け暮れ、将来のことなんて考えられなかった。
天谷浩太の日常は全てが虹色だった。幼いころから欲しいものは何でも与えられ、何をしたって上手くいった。そんな二人に文芸部部長・神楽坂朱音は小説の世界の素晴らしさを説いた。そして、囁く
「君たちのどちらかがプロデビューして、私を奪って欲しい――」
いびつな関係の3人が小説という名の戦場に出揃うとき、物語は動き出す。小説に魅せられた少年少女が贈る、本物の青春創作活劇!

高校時代の部活動としての時間を小説という創作活動にささげた部員たちの青春を描いた物語。
彼らもしくは彼女らは何故、小説を書くのか。根幹にある想いや執筆を続ける原動力のような、小説の世界に魅せられ小説の世界に飛び込んだ文芸部員たちの心理的な部分が特に強く描写されている印象がありました。
『紙とペン、今の時代ではパソコンさえあれば活動できる小説家としてデビューしてお金を得たい』『想いを寄せていた相手に振り向いてほしくて小説を書き始めた』もしかしたら、『もともと小説を書くのが好きだった』などの理由かもしれない。それぞれの想いを胸に秘めた文芸部員たちが一緒くたになって活動する場がとある高校の文芸部。
誰が主人公でもない。それぞれの視点に立てば誰もが主人公になる。柊海人の目線になれば不幸な家庭環境から脱却しようと抗うドラマにもなるし、天谷浩太の目線になれば長く親交のある神楽坂朱音と同じ寄り添おうとする青春物語にもなる。
誰しもが一人ひとり自分の人生を歩んでいくなかで同じ夢を抱いて突き進みつつも、どこまでも人生は上手くいくようでいかない世知辛さを痛感させられる。
もしかしたら、どこかで本当に起きていそうな等身大のスケールの青春劇なだけに共感を抱きやすい作品でした。

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