誰かの“二番目”でいい。キミの“一番”なら。
誰とでも気軽に話せて絶大な人気を誇る美少女・南野千夏。
彼女と知り合った高校一年の秋から、同姓同名のイケメンの陰で同級生から“二番”と呼ばれている僕の生活は変わり始めた。「“二番”なんかじゃないし。……うちが初めてキスしたいって思うんだから」
南野とは学校以外でも会うようになった。
放課後はストリートバスケに一緒に行って、一緒にご飯を作って、二人だけの秘密を話して、触れあって。
独りでいいはずだったのに、彼女は僕を認めて、あいしてくれる。
だから僕も、それを返したいって思うんだ。当たり前の願いが当たり前に尊いと気付く、青春恋愛小説。
捨て猫をきっかけに交流が生まれた主人公・佐藤一と南野千夏。
誰とでも気軽に話せてクラスでも絶大な人気を誇る美少女の千夏と帰宅部で平凡な主人公。
これまで全く接点のなかったはずの二人が偶然の出会いをきっかけに少しずつ信頼を抱くようになり、お互いのパーソナルな部分を打ち明けるにつれて、お互いをかけがえのない存在としてクラスメイト以上の感情を持つようになり惹かれあうまでの青春ストーリーの組み立て方が特に最高でした。
主人公の人生を大きく狂わせた回想シーンのストーリーのボリューム。誰とでも気軽に話せて誰とでも仲良くなる千夏の生き方に影響を及ぼしたエピソード。キャラクターのディテールを掘り下げつつ感情移入をさせるシーンがまた最高で、読んでいて目が釘付けになるような展開の連続でした。
間違いなくファンタジア文庫の新作のなかで大当たりの作品だと断言できます。
まだ、読んでいない方はぜひとも読んでください。
