ついに自分の夢を見つけた日葵が――モデルの卵として初めてのお仕事へ!
「来たわね、犬塚日葵!」
「ナハハ。さっそく波乱万丈だなァ」
高校最後の夏休みを迎えた悠宇たちは、天馬から観劇に誘われまたもや東京を訪れていた。日葵と凛音のほか、ゆめや慎司も加わった珍道中の行方は!?
――しかし、日葵にとってはただの楽しい東京旅行というわけにはいかず……。
(……ほんとに、アタシは一人で行けるのかな)
紅葉から入ったモデルとしての初仕事の連絡。悠宇たちの前では余裕を見せながらも、本当は重圧を感じていて――。
初めて見つけた自分の夢。多くの大人たちに囲まれながら今、初陣を迎える!
ほぼ同じ時期に発売されたスピンオフの『夏目咲良の青春疑似録』に書かれていた榎本紅葉と同世代のキャラクターたちの人間関係をあわせてこの1冊を読むと、今回の日葵たちの旅路で再会した際に交わした会話の内容をより楽しむことができると個人的に思いました。
あのスピンオフ作品でしか知ることができない、悠宇、日葵、凛音、慎司たちの兄姉の人間性を考えるとまた違った見方をすることができると思いました。
そしてシリーズ第11巻におけるストーリーのなかで、『日葵のモデルとしての初仕事』が描かれており、日葵にとって唯一無二の才能やセンスといったものをプロの現場での仕事として活かせるかどうなのか。進路の一つとして歩み始めた矢先の初仕事に直面したときの苦悩、挫折、焦燥といった心境が丁寧に描かれていて、ある種の才能や実力がモノを言う世界に身を投じた人間に向けた切実なまでの現実を突きつける内容となっていました。
かなり真に迫った、それでいて努力を続ける若い高校生たちの青春ドラマのような展開になっていて、悠宇と日葵のやりとりなんかが最高に良かったです。
これから先、どんな風に成長していくのかが楽しみです。
