働きたくない村人のラノベ日記

ラノベの感想ブログ。開設2014年5月30日

ドラキュラやきん!

ドラキュラやきん! (電撃文庫)

《あらすじ》
太陽の光を浴びると灰になってしまう存在、吸血鬼。夜しか活動できない彼らだが、現代では割と問題なく生活していた。
そう、なぜなら“夜勤”で働くことができるから――。
虎木由良は現代に生きる吸血鬼。バイト先は池袋のコンビニ(夜勤限定)、住まいは日当たり激悪半地下物件(遮光カーテン必須)。人間に戻るため、清く正しい社会生活を営んでいる。
なのにある日、酔っ払いから金髪美少女を助けたら、なんと彼女は吸血鬼退治を生業とするシスター、アイリスだった! しかも天敵である彼女が一人暮らしの部屋に転がり込んできてしまい――!? 虎木の平穏な吸血鬼生活は、一体どうなる!?
『はたらく魔王さま!』の和ヶ原聡司が贈るドラキュラ日常ファンタジー!

日本を舞台にした和風ファンタジーの世界はごく普通の生活を送る人々の光景が主人公たちのような秩序の外にいる存在を際立たせてくれる。自分たちの暮らす世界にも、もしかしたらそんな世界が広がっているかもしれない。そんな厨二心を刺激してくれる世界が広がっていてとても面白かったです。
シリーズ第1巻ということもあって、主人公である吸血鬼の虎木由良の生態と彼の現在、そしてかつて人間だった彼を吸血鬼に変えた存在についての設定が細かく描写されているところが特に印象が残りました。
永遠の世界を生きる吸血鬼になった虎木が人間として追い続けていく兄弟の存在を前に自身の境遇について熟考するシーンなどは、この作品の現在とそして虎木を中心としてこの先人間の身体を取り戻せるのか夢半ばで敗れるのか、未来を想像させる内容となっていたと思います。長期的にシリーズ化するにあたってどのような結末を迎えるのかとても楽しみな作品でした。

最後に余談ですけど、虎木が夜の世界でしか生きられないから24時間営業のコンビニで夜勤のみで働いているのは百歩譲って良いとして、日の当たる世界に出歩くと灰にされるのが絶望的に日常生活に支障が出そうでヤバいです。コンビニ店長の娘の村岡さんとか虎木の秘密を知っている名家のお嬢様の比企さんとか、もし日常ラブコメチックな展開になるとしたら日の当たる世界でのイベントが起こせないですよ。皮算用でしかないけどそんな未来を思い描いてしまいました。

次の新刊も楽しみにしております。

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