《あらすじ》
自分たちの関係を受け入れてくれるコミュニティを大切にする――そんな新たな価値観を知った悠太と沙季。
順風満帆かに思えた二人の関係だが、春休みを過ぎ、三年生になった彼らにはまた大きな変化が訪れる。
クラス替えにより同じ教室での生活が始まり、近づいてきた受験と未だ見えぬ将来設計に惑い――そしていつの間にか、二人が家族になってから一年が経とうとしていた。
ここまでゆっくりと距離を近づけてきた二人は、近づきすぎてしまった自分たちの関係を見つめ直すために『すり合わせ』をするのだが――?
“兄妹”であり“恋人”でもある二人が理想の距離を模索する恋愛生活小説、第8弾。
義理の兄妹でもあり恋人でもありクラスメイトでもある悠太と沙季の関係性。
家族として同じ家で暮らしながら、親の目を盗んで恋人としての時間に興じてお互いの想いをすり合わせる。そんな二人の価値観を受け入れたうえで接してくれる友人・知人の存在が、まだ親の庇護下におかれている高校生でしかない悠太と沙季の間で燻ぶり続ける悩みを紐解いていき、一つの道しるべとして言語化して諭していくシーンは、義理の家族で恋人というアンタッチャブル性を含む恋愛により深みを持たせていくところがとても良い作品でした。
悠太と沙季が過ごす日常。三年生へと進級し将来について否応なく考えさせられ、恋人ととの距離を少しずつ縮めていくなかで自らの人生をどんな方向へと歩んでいくのか。二人の将来が楽しみです。