働きたくない村人のラノベ日記

ラノベの感想ブログ。開設2014年5月30日

恋人以上のことを、彼女じゃない君と。3

恋人以上のことを、彼女じゃない君と。3 (ガガガ文庫)

《あらすじ》
“恋人”だった、俺たちの物語。

山瀬冬、大学一年生、童貞。四国は香川の高松から上京してきた俺は、新生活が始まった今も悩みを抱えていた。「皆瀬に、どうやって告白すればいいんだろう?」俺は、同じサークルの皆瀬糸が気になっている。別に、一目惚れというわけではない。むしろ初対面の頃は、目立たない子とさえ思っていた。けれど、その微妙にずれた感性や、やけに綺麗な所作が新鮮で、気づけば彼女を目で追うようになっていた。俺は、皆瀬糸に恋い焦がれてしまったのだ。ーーこれは、糸と出会い、付き合い、青春を紡ぐ物語。そして、恋人であることを諦める物語。

親元を離れ、社会人となった二人が現在のような関係に至るより前。大学生時代に同じサークルに所属していた二人がごく普通に惹かれあい、ごく普通に付き合い始めた頃の平凡なエピソードから最後、別れるに至るまでの悲劇。現在の二人の中に深く根付く、山瀬冬と皆瀬糸の生き方に繋がるエピソードが詰まっている1冊となっていて、シリーズを通して読み続けて感じてきた二人の姿があるからこそ、3巻で明かされる大学時代のエピソードが過去と現在の対比にもなっていて、物語が進むにつれて二人の境遇に感じ入るものが生じて響いてくるものがありました。
ただ、社会人になった二人が自由気ままに『フェアリーテイル』をしているだけかと思いましたけれど、『毒親』の存在が子どもの生き方を捻じ曲げて人間関係にも不和を生じさせる。そんな様子が物語を通じて描写されていて、切実な状況の中からも親の庇護下にいる二人なりに決断をするまでのドラマが描かれていて、物語を楽しむことができました。
続きが楽しみなので新刊楽しみにしています。

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