《あらすじ》
リィエルが苺タルト嫌いになる呪いをかけられた―『さらば愛しの苺タルト』。公爵家の元娘・イヴ、極貧生活に耐えかね、夜のお店でアルバイト!?―『秘密の夜のシンデレラ』。セリカ主催「グレンの嫁探しコンテスト」に、本気で挑むルミア無双―『最強ヒロイン決定戦』。未来の世界でグレンの子ども達に対面!?いったいお相手は―『未来の私へ』。少女たちが、ふだんは見せない表情を満載した短編、一挙掲載!そして―“法皇”クリストフ=フラウル。まだ士官候補生だった彼が直面した絶体絶命の回顧録。窮地を救ったのは、癖だらけと噂される特務分室・最強の6人だった!
ロクでなしシリーズの短編集でキャラクターの個性を深掘りしたり、まだ語られていない過去のエピソードを補填する形で魅力を引き出してくれるところが良かったです。
特に、本編では物語のクライマックスに向けて着々と進んでいる状況ということもあり、どうしても血生臭い命がけの魔術バトルに突入するので、今回の短編集のようにラブコメ要素を濃密かつグレンたちの平和な日々を切り抜いたお話はとても癒されました。個人的には、グレンのお嫁さん候補を決めるシスティーナやリイエルを中心とした“最強ヒロイン決定戦”やシスティーナの寝ている間に視た夢の世界でグレンとシスティーナ、ルミア、リイエルの3人が結婚してそれぞれが娘を生んで学院でのやり取りを描いた“未来の私へ”、お金に困ったイヴが魔術で正体を偽ってキャバクラで働き人気No.1に上り詰める“秘密の夜のシンデレラ”。
やっぱりこの4人の可愛さを引き出す短編がとても印象深かったです。“秘密の夜のシンデレラ”に至っては、できる女感の強いイヴから程よくポンコツ感が滲み出されていて、グレンと学院で再会してから刺々しい感じが取れてきた頃のやさしさが良い具合に作用して凄く良かったです。挿絵もそれぞれの短編で一番のベストショットを切り取っていてとても見ごたえがありました。三嶋くろねさんのイラストは最高ですね。