魔力を失った魔王子グレイと吸血鬼のサラが織りなす勇者学校生活《チートライフ》、ここに開幕!
「ここが勇者学校か。今日から本当の勇者になれるぐらい頑張るぞ!」「ほほう……人間から学ぶことなど何もないと思うがの、魔王子よ?」
魔族討伐の勇者を育成する、マグナルクス勇者学校に入学してきたのはなんと魔王の子グレイと吸血鬼のサラ。 その目的は封印されたグレイの魔力を取り戻すべく、勇者の秘儀を習得するためだった! だが――「グレイ、貴方って魔族でしょ?」
すぐに一学年上の主席、エリーに疑われてしまう。さらにそのエリーがグレイの兄、魔王子ヴァルディスと共にサラを狙っているようで……?はたしてグレイは封印を解いて大切なサラを守りきれるのか!?
第6回GA文庫大賞奨励賞受賞作。
魔族が勇者の育成機関に潜入する姿にときどきハラハラするシーンもあり、設定は王道ではあったけれども十分に楽しめる作品でした。ラストの戦いでどうやってこの状況を打開するのかと思ってたけど、これまでの体験が実は結びついているというのに驚きました。
グレイと共に入学した吸血鬼のサラ、グレイの実力に疑いの目を向けるエリーとその妹のフレデリカ、ひょんなことからグレイと知り合いになったミレーヌ。魔族サイドと勇者サイドにわけるとグレイ、サラとエリー、フレデリカ、ミレーヌになりますね。吸血鬼のサラは魔族の世界では五指に入るほどの実力者。
勇者学校に入学早々にして実技座学ともに頭角を現していくグレイとサラ。育成機関とあって授業風景は魔族に関しての講義と戦闘訓練。魔族サイドであるグレイからしてみたらこれほど退屈な授業はないだろうね。教師の怒りをかって授業中に難題を突きつけられてもスラスラと答えていくスタイル。
実技の授業においては、魔族の力を封印されてはいるものの身体能力に関しては普通の人間に比べて強靭なもの。グレイを敵視するフレデリカとの一戦が熱かったです。
この作品の見所としてはサラとグレイの関係性ですね。色々とあって学校内の宿舎で同居生活を始める二人なんですけど、ときどき激しいキスシーンがあります。といってもこれは魔術を行使するためであったりというわけありなんですけど、まあとにかくエロかった。誰の目も行き届かない宿舎の室内においてはとにかく激しいですね。魔族であることは隠さなければならないので、秘匿しなければいけない会話は概ねここで行われていることが、二人だけの空間っていう風に感じられました。
新人賞を開拓する宣言をしてからの1冊目。どうやら2巻について出版が決まっている感じなので、続きも買ってみたいと思います。