オタクである木和田博人は、クラスメイトたちから「キモダ」と呼ばれている。
そんな彼にはとある“秘密”があった。
それは、超絶美少女として人気の女装コスプレイヤー・ルールー・デ・ルゥとして活動していること。
ルールーでいる間は、本当の自分でいられる――学校の中に居場所がなくても平気だった。
そんな高2の夏休み、とある大規模イベントで博人は長年活動を共にしてきた男装コスプレイヤー・ウロの素顔を知ることになったが……
その正体は、学校でもトップに君臨する美少女ギャル・綾瀬彩で――!?
お互いの正体を知り、今まで以上に距離を縮めていく2人。
それはコスプレという枠を越え、博人の学校生活も次第に変わっていき――。
第12回集英社新人賞佳作受賞作
あの子は可愛い男の子。／衣太／mmu | 集英社 ― SHUEISHA ―
クラスでは目立たない陰キャ男子だけどSNSでは有名な女装コスプレイヤーな主人公・木和田博人。
これまで趣味を通じて友人と呼べるような横のつながりがほとんど皆無だった主人公が、学年一の美少女ギャルで男装コスプレイヤーのクラスメイトとお互いの素顔を偶然知ることとなる。
陰キャ主人公と陽キャ美少女ギャル。校内での様子から住む世界が違う二人がコスプレとい共通点を介して関わることで、主人公の中には無い新しい価値観に触れていくうちに少しずつ変わっていき、クラスメイトから蔑称で呼ばれていた過去から脱却する青春ラブストーリーテイストの作品である一方で、コスプレ界隈への造詣も深いのかディテールも細かく描写がされていて、コスプレものとしても十分に味わい深い作品となっていて素晴らしかったです。
ある程度の専門用語やコスプレ界隈に何も関わりのない一般人からでは見えることのない視点の日常が物語のなかで描かれていると、それだけで主人公だけの特殊な世界が楽しめて良かったです。
