《あらすじ》
お見合い話を持ってくる祖父に「金髪碧眼色白美少女なら考える」と、無理難題をつきつけた高校生・高瀬川由弦。数日後、お見合いの場にいたのは同級生の雪城愛理沙!?由緒ある家に生まれたため、幾度となくお見合いを勧められうんざりしていた二人は、お互いのために、嘘の『婚約』を交わすことに。異性との交際経験がない二人は嘘を貫くため、愛理沙が手料理を振る舞ったり、娯楽施設でデートをしたり、と初々しくもあまい時間を重ねていく。急速に二人の距離が縮まる中、家族から「二人の仲睦まじい写真が見たい」と言われ…!?嘘の婚約から始まるピュアラブコメディ、開幕です。
出会って即『婚約』。昔ながらのお見合いで出会った二人が周囲を欺くために『偽恋人』を装って仲睦まじい様子を演じてるけれど、打算から始まった関係が徐々に本物に移り変わっていく姿とドキドキしながら恋人らしく振舞おうとしている姿がエモい。
12月の新作ラブコメ作品のなかではトップクラスに面白く、今勢いのある新作だと思います。
《あらすじ》
「コーコーセーラジオ!」新コーナーも存外(?)の好評を博し、晴れておだやかな日常を取り戻した夕陽とやすみ。目下やすみの悩みは―仕事が無い!そんな崖っぷちに舞い込んだのは、夕陽主演・神代アニメの宿敵役!?やっとつかんだ大役に意気込んだのも束の間…「あんた今、周りに迷惑だから」「すげーやりづらかったよ」容赦なく突きつけられる、一流の壁。できない、苦しい、まだ足りない、でも「あんたにだけは」「あなたにだけは」「「負けられない!!」」突き抜けたいふたりの声優ラジオ、熱い声援を受けて、まだまだON AIR!!
このラノ文庫部門第15位
シリーズ第3巻。“声優”としての活動がクラスメイトたちにも知れ渡っているなかで催されたクリスマス会。声優として活躍している友人と一緒にカラオケを楽しむクラスメイトたちのリアクションと、プロの歌唱力に盛り上がる様子がとても鮮明に思い浮かぶくらいに楽しそうでした。そして、アニメで宿敵役のキャラクターの声優を務めることになったやすみが周囲のベテラン声優たちとの収録のなかで容赦なく実力の違いを突き付けられるなか、一番近くにいる仲間でありライバルでもある夕陽の助けにより、やすみのなかの声優として必要なものを見つけて壁を乗り越える展開に胸が熱くなりました。
《あらすじ》
クリスマス直前に彼女に浮気された大学生・羽瀬川悠太。そんな俺の家に、からかい好きな後輩・志乃原真由が入り浸る春休みも明け、大学生活三年目の四月―真由と同じ講義を受け、親友・美濃彩華にはサークルの新入生歓迎会に誘われたりと、賑やかな新学期を過ごしていた。しかし、それでも脳裏によぎる、元カノ・相坂礼奈の言葉。「私、浮気なんてしてないから」付き合っていた頃の想い出と、別れを決めたあの光景が甦るなか、再会の時が訪れて…。「ねえ、悠太くん。私のこと、嫌い?」浮気の真相と胸に秘めた想いを明かす礼奈に、俺は―。ちょっと大人の青春ラブコメ、未練と決意の第三巻!
これまで明言がされなかった羽瀬川悠太が『浮気をされた』事件の真相が明らかになる回でした。相坂礼奈との仲も順風満帆に想えていた矢先に起きたすれ違い。想いが強いほどにささいなすれ違いがきっかけに溝がドンドン大きくなり、やがて取り返しのつかない事態に発展するという青春ラブコメの丁寧に処理しなければいけない爆弾を盛大に爆発させたような恋愛トラブルで物語の世界に引き込まれました。
《あらすじ》
一学期の最終日。日常に飽き飽きし、ただ毎日を消化していた高校生・加嶋颯は、クラスのアイドル・藤ノ宮白雪からまさかの告白を受ける。だが次の瞬間、颯は9月1日へとタイムリープし、夏休みが始まる前に終わっていた。白雪の正体は、その美貌で人を惑わし、謎の砂時計で相手の「時」を奪う“時間泥棒”。夏休みをまるごと盗まれた颯は1ヶ月分の「時」を取り返すため、時間泥棒との壮絶な心理戦に挑むことになるが…。デート中に相手にドキドキすると「時」を奪われる「時間争奪ゲーム」―これは、高一の夏休みを盗まれた俺が青春を取り戻す物語である。
相手にドキドキすると『時』を奪われる時間争奪ゲーム。クラスのアイドルからのドキドキさせられるエッチな誘いに本能に抗いきれずにドキッとしてしまい幾度となく敗北する主人公。
少し不思議な砂時計が起こす二人の青春ラブコメは、ポップな雰囲気の表紙イラストと美少女の手のひらで翻弄される学園での甘い日々が続くなか、『時』を奪うという摂理から外れた力を手にした二人の前に新たに立ちはだかる存在を目の前に物語が大きく動き出し、その壮大な世界観に引き込まれる作品でした。
今月読んだなかでのイチオシの作品は以上になります。
最近はカクヨムからのラブコメ作品も多くなってきていますけれど、デビュー作ながらもキャラクターの配置や設定が独特でラブコメにおけるキャラクターへの感情移入のしやすさや魅力の引き出し方がとても上手くて面白い作品が多いです。
これからも魅力的な作品が刊行されるのを楽しみです。