《あらすじ》
日本へと戻ったヒカルとラヴィアを、突然カメラのフラッシュが捉えた。「東方四星」と同じマンションに偶然住んでいた新聞記者、佐々鞍綾乃との出会いである。彼女に撮られた写真を取り上げようとしたヒカルだったが、あまりに記者としてポンコツな彼女が気の毒になり、写真を消すのと引き替えに「隠密」を駆使して彼女にスクープネタを渡すことにする。それは現職の大臣と政治家秘書が絡む、大規模な汚職事件だった。一方、ヒカルと入れ替わりにポーンソニア王国に戻った「東方四星」はポーラと合流するのだが、こちらでも予期せぬ大問題が起きていたのだった。
日本と異世界を渡る術によりヒカルの日本への帰還が成し遂げられた事実が身に沁みます。
異世界転生ファンタジー作品の楽しみの一つとして『もし魔法の力を持ったまま日本へ帰還を遂げたらどんな光景が見られるのか』が個人的にはあります。
科学文明が発達した世界に科学で説明のつかない超常の力を持つ人間がそれを駆使して活躍する。ヒカルの隠密スキル然り、ラヴィアの魔法スキル然り。
今回はそれにかけて、先んじて日本へと渡っていた『東方四星』のメンバーたちの存在が明るみとなった背景があるだけに、『この世界には異世界人がいる』事実が認識されたなかでのヒカルの活躍が、日本の汚職事件×ヒカルの構図が作り出されてメチャクチャ面白い内容になっていました。
ヒカルの周囲に察知されない隠密があれば政治家の秘密を暴き放題。証拠集め、潜入、荒事への対応、全てにおいてヒカルが異世界で身に着けた術が活きて華麗に窮地を乗り越えるところにはスカッとさせられました。
とてもお気に入りのシリーズ作品なので次の新刊も楽しみです。